北村周一のブログ《フェンスぎりぎり》

フラッグ《フェンスぎりぎり》展へようこそ。現代美術紹介のコーナーです。とりわけ絵画における抽象力のリアルについて思考を巡らしたい。またはコーギーはお好き?

2015-03-01から1ヶ月間の記事一覧

見返せば睨み返せり現代詩作家なるひと改札口で

見返せば睨み返せり現代詩作家なるひと改札口で 三十六日目。 迫力のある眼差し。黒い蝙蝠傘を持っていた。場所は京橋駅改札。

装飾性華美なる悪をやっつけるウルトラマンの無表情、微妙

装飾性華美なる悪をやっつけるウルトラマンの無表情、微妙 三十五日目。灰色は無表情ではないけれど、やはり冷たい感じがあることは否めない。 モンミュゼ沼津での個展が始まりました。 春爛漫の駿河路は魅力的です。

暖かくなる日の朝は冷えやすくどこへ行くにもついてくるんだね、ラク

三十四日目。 暖かくなる日の朝は冷えやすくどこへ行くにもついてくるんだね、ラク

一瞬の静止をふくむ鳩のその着地へいたる動作面白

三十三日目。 一瞬の静止をふくむ鳩のその着地へいたる動作面白 川崎駅前。

白線のはるか先ゆく自由へと駅のホームを鳩が飛び立つ

白線のはるか先ゆく自由へと駅のホームを鳩が飛び立つ 三十二日目。あしたは暖かくなるでしょう。

川の底ひとつ小箱に身を寄せてねむる犬の子三つ子なりけり

三十一日目。寒の戻りにからだときもちが追いつかない。熱海や湯河原は、桜がほころびはじめていた。 川の底ひとつ小箱に身を寄せてねむる犬の子三つ子なりけり

すて川とう名を持つ川の澱みにてしずめられたる犬の子その他

三十日目。 すて川とう名を持つ川の澱みにてしずめられたる犬の子その他 小さな川になんでも捨てていたむかし、すて川も雨が降るとよく氾濫していた。

鳩一羽クツの底いにとまらせて脚組むわれは公園におり

二十九日目。そろそろ一巡。鳩一羽クツの底いにとまらせて脚組むわれは公園におり

自由への道はさすがに色褪せて聞こえよがしにハトうつ音も

自由への道はさすがに色褪せて聞こえよがしにハトうつ音も 二十八日目。 ことし庭の沈丁花は咲かない。枯れてしまった。 なぜだろう。

新自由主義に塗れしこの国のつぶつぶつぶつ鳩は眠らず

二十七日目。 鳩が寝ているところを見たことがない。 新自由主義に塗れしこの国のつぶつぶつぶつ鳩は眠らず

〈TOMORROW〉は地下にあるらし矢印がハローワークの出口に教う

二十六日目。春分の日。 入るときに気づかなくても、出口ではそれと気づく看板がある。tomorrowという名の飲食店はよく目にするが、 職安の地下1階に存在するのはレストランである。 〈TOMORROW〉は地下にあるらし矢印がハローワークの出口に教う

キャタピラーは毛だらけの猫灰だらけ毛虫のような人柄をいう

二十五日目。 キャタピラーは、商標名でもありますが、 原義は毛だらけの(=^・^=)。または芋虫、まれに聖職者。他人を食いものにする人のこと。キャタピラーは毛だらけの猫灰だらけ毛虫のような人柄をいう

新しい朝というもの身につかず覚えなきまま動かす手足

新しい朝というもの身につかず覚えなきまま動かす手足二十四日目。 ラジオ体操が苦手な人も多かろう。

親思いの肉屋のむすめ嫁がずに家業を継げり 手でハエを追う

親思いの肉屋のむすめ嫁がずに家業を継げり 手でハエを追う 二十三日目。 ガラスケースの中に逃げ込んだ蠅をてのひらで潰してしまうのだ。

三輪セツ子先生の顔そっくりに描きたるのちあわくぼかせり

二十二日目。三輪セツ子先生の顔そっくりに描きたるのちあわくぼかせり 小学校の似顔絵大会。クラス代表として、担任の先生の顔を描く。50歳をちょっと過ぎた三輪先生のやさしくもきびしい顔を思い出しながら描いたのだが。あまり似すぎてもいけない。

自転車に乗って遠出をした帰り 決まって犬に追いかけられた

二十一日目。 自転車に乗って遠出をした帰り 決まって犬に追いかけられた 昭和三十年代の地方の漁師町には、犬猫とひとは共存していた。遠出をした帰り道、空腹と疲れ、くわえて日が沈みかけて来ると無性にさみしくなり、つい道端にたたずむ犬に声をかける。…

モンミュゼ沼津、沼津市庄司美術館へのご案内その2

春爛漫の沼津へ、お越しください。

春の個展、フラッグ《フェンスぎりぎり》1999年以後

沼津市の、庄司美術館にて、3月28日土曜日より、フラッグ《フェンスぎりぎり》1999年以後展が開催されます。 よろしくお願いいたします。

さよおなら 卒業生を代表しあいさつ終えてみれば爆笑

二十日目。 さよおなら 卒業生を代表しあいさつ終えてみれば爆笑 中学三年の男子が、在校生に向かってお別れの挨拶の一コマ。緊張して早口になるので、できるだけゆっくりと話すように教師から諭されていたのだが、それを思い出し、さいごのさいごで出てきた…

じっとりと汗ばむ両のてのひらよここより他の場所へ逃げたし

十九日目。 じっとりと汗ばむ両のてのひらよここより他の場所へ逃げたし ここより他の場所、大江健三郎の短編にありましたね。

右寄りの話題豊富なトベさんが上目遣いにミラーを覗く

十八日目。タクシーに乗り込むとき、緊張しませんか。 右寄りの話題豊富なトベさんが上目遣いにミラーを覗く

ハンドルの遊びの部分をしみじみと右に左にタクシー日和

十七日目。 ハンドルの遊びの部分をしみじみと右に左にタクシー日和 客を待つ間、日向ぼっこしているタクシーとその運転手。

トベさんは個人タクシーの運転手で早い話が短歌はじめた

十六日目。 トベさんは個人タクシーの運転手で早い話が短歌はじめた 言葉にしてみてはじめて自分が何を考えていたかがわかることがある。

窓に向かいお姉言葉を真似てみる すこしきぶんがラクになるわよ

十五日目。 窓に向かいお姉言葉を真似てみる すこしきぶんがラクになるわよ この場合の窓は、家の窓ではなくて、車窓です。電車の窓から眺める風景は、時間そのものです。前へ進んでいるのに、過去へさかのぼるように時は流れる。

茹でたまごつるんとむけて初恋のつぎなるお人の口に含ます

茹でたまごつるんとむけて初恋のつぎなるお人の口に含ます 十四日目。 新鮮な玉子ほど茹でると殻が剥きにくい。炭酸ガスが薄皮と殻の間につまっているからだ。

甘納豆を肴に酒を飲むひとも 父のことなり性善説の

13日目。 甘納豆を肴に酒を飲むひとも 父のことなり性善説の いちまい一枚、薄紙を剥がすようにことばは記憶を遡るのでしょうか。

満月や じいとばあとがいい合える平屋の家の前のしずけさ

十二日目。 満月や じいとばあとがいい合える平屋の家の前のしずけさ たまに雨が降らないと、ことしは花粉がすごい。 二、三日前満月だった。

澱みなきひかり湛えし校庭の溜まりのみずの静かなことも

11日目。 澱みなきひかり湛えし校庭の溜まりのみずの静かなことも 啓蟄です。梅の香りに誘われて。

水たまりに歩み止まりしわが子らへおおらかに声をかけゆく保母さん

十日目。 水たまりに歩み止まりしわが子らへおおらかに声をかけゆく保母さん おはようの挨拶でしょうか。保育園に行き渋る子どもが、水たまりから顔を上げて、そばを通る保母さんと声を交わす朝の光景。

人品の下なるわたくし友を乞い酒飲むのみに九品仏へと

九日目。 人品の下なるわたくし友を乞い酒飲むのみに九品仏へと 大酒のみは大成しないらしいのだ。