北村周一のブログ《フェンスぎりぎり》

フラッグ《フェンスぎりぎり》展へようこそ。現代美術紹介のコーナーです。とりわけ絵画における抽象力のリアルについて思考を巡らしたい。またはコーギーはお好き?

2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

サヨウナラ、と告げればそれはぼくの絵のタイトルだからと正直氏笑まう

千百三十七日目。 吉仲家の愛犬二匹、母と娘の実の親子である。

みまかりし我が子をしのびしのび等伯がえがく涅槃図パノラマのごとし

千百三十六日目。 長谷川等伯の嫡男は有能な絵師としてその才を期待されていたが、弱冠二十六歳で急逝した。大涅槃図、縦約十㍍、横約六㍍、京都本法寺蔵。

寒暖の差のはげしきを嘆きつつ四条を西へ下るつれあい

千百三十五日目。 春は何かと気忙しい。

無口なる運転手さんに行先を告げたるのちのこころのうごき

千百三十四日目。 こちらも満開。さんぽみち。

能登の出の絵師等伯どのを追っかけて本法寺まで、相国寺まで

千百三十三日目。 歳をとるとのどの渇きもわからなくなるらしい、睡眠の質も。

おひるには小倉トーストふふみつつ彼岸の明けの春をよろこぶ

千百三十二日目。 さくらみましたか。

抽象を写実の技もてえがききる作法をひとは正直という

千百三十一日目。 寒くとも 暖かくとも さくら五分咲き 吉仲正直展を見る

殊のほかハ行が似合うこのみやこ等伯どのもハヒフヘホハホ

千百三十日目。 彼岸明けのきょう、花粉飛び交う。バスの中より。

歪みある線のしぜんを真直ぐに引きなおしゆく手わざ怖ろし

千百二十九日目。 ボケとブレもまた絵の一部なりや。

歪(いびつ)なる身体の部位のあちこちが悲鳴上げおり彼岸の入りは

千百二十八日目。 毎年よ彼岸の入に寒いのは 子規

うららかや教えたがりと教えられたがりが憩える蕎麦屋の座敷

千百二十七日目。 春分の日のゆきもよう。珍しくはないけれど。

いそぎあしに読み返したりし処女歌集『起伏と遠景』は遺歌集でもある

千百二十六日目。 旗は穴でもあるか、どうか。

覗きみればのぞかれもする穴をまえに怖くもあれば病みつきになる

千百二十五日目。 穴の向こうをおもいみる。

おもて向き七三分けにしてながく使用に耐えしつくも髪梳きやる

千百二十四日目。 つくも 九十九 百引く一 つまり白のこと

射干玉の喪にあらねども芸術のひとらよくよく黒をこのめる

千百二十三日目。 アカメガシワも新芽を芽吹くころなれば。花粉いよいよわれを悩ます。

教室のまどからそらへ放られゆくうわばきひとつ逃げ去るごとし

千百二十二日目。 ベランダを縁側とは呼ばないで。ひとつはぼくの足元に。スクールシューズ。

押し花にかおりを載せてはさみおく春の手紙はときをわすれず

千百二十一日目。 ハナミズキ芽吹き始める庭先にたてばふくかぜおだやかならず

東京五輪終えたる体操選手らが演技披露す 清水へ来たりて

千百二十日目。 子どもの目にも、疲れているのがよくわかった。

趣味の切手五輪シリーズそのすべて1・9・6・4 われ熱狂す

千百十九日目。 きっときってかってきて。

ヒノマル手に見送るわれら東京へはこべ聖火を聖火をはこべ

千百十八日目。 東京オリンピックから大阪万博までの六年のあわいはげしく少年期あり

校庭を6年5組したがえて鼓笛隊はゆく朝礼のさなか

千百十七日目。 今週は暖かな日がつづきそう。小田原提灯ぶら下げて。

このクラスの忌まわしきものみるように教師がぼくのかたえにたちぬ

千百十六日目。 たつ、は立つ、または佇つ、または顕つとも書く。ニンニン。

集団のなかに馴染めぬ疾しさを押し殺すごとくまなび舎にあり

千百十五日目。 春 予期せぬことが起こる季節。

群れたがる友らのかげを追うようにフェンス越しにみる校庭は矮(ひく)し

千百十四日目。 失敗したときに見えてくるものがある、うまくいったときには多分隠れてしまうのだろう。

またあの子あの子とあの子も かげ淡きバックネットにわが身を寄せる

千百十三日目。 算数が一番好きだったのはなぜだろう。

酒を手に語り合うとき夜明けまで深夜放送われらが友よ

千百十二日目。 啓蟄。あしたあさっては寒さがぶり返すらしい。

やる前に奥襟ふかく掴みたがるズルを承知で勝ちにくるやつ

千百十一日目。 大荒れの月曜日。

急行はやめて只管各駅にカフェインも摂らず脳をいたわる

千百十日目。 暖かくなってまいりました。はやく寝ることです。

キュビズムの和風解析とでもいおうかモリカズ展老いゆくほどに多作

千百九日目。 金曜の夜は空いているかなと思っていたのに、ことのほか近代美術館は賑わっていた。人気あるんだね、熊谷守一。 こちらは、一歩手前。 S&T PHOTO

みみのみが外へ向かってひらかるる朝なり知らぬ振りして眠れ

千百八日目。 灰いろの水のはじまり(その2) 3月の水牛のようには、こちら➡ http://suigyu.com/2018/03#post-5527