2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧
四百九十八日目。六月晦日。半年が終わる。 夏の水、はじけやすくて掛け声はにいにいさんしときは満ちゆく
四百九十七日目。筋力は病いを救うらしい。 イヤなことあったその日は鉄アレイもってしっかり体幹チェック
四百九十六日目。泣くな、アジサイ。 賭け事も諍い事もなにごとも勝つか負けるか 泣いたら負けよ
四百九十五日目。それがはじまりだった。 やまい重き父母を交えて暗きあの部屋のひとつに集いしことも
四百九十四日目。 墨のカスレは、むらさきのにおい。 年老いし親を囲んであねいもと賭けごと好きは母親ゆずり
四百九十三日目。もう半チャン、待ってますから。 ここ一番父親おもいの妹が敗けてようよう半チャン終える
四百九十二日目。口約束だけではだめみたいです。 いもうとのおまえが頼りといいながら千の賭博に走る兄さん
四百九十一日目。賭け事と、裁判はなじみやすい。勝たなければ泣くだけのところも。 いもうとのあなたが大事といいながら千の賭博に走る姉さん
四百九十日目。麻はむろん夏の季語。 すり切れる一歩手前に踏みとどまる麻布は見よ ヨレヨレなれど
四百八十九日目。六月も半ばを過ぎてしまった。 籠の中の十姉妹あわれベランダに置き忘れしは梅雨どきのこと
四百八十八日目。青いは暗い。 洗脳する者のかたえにされたがる者らの顔も 預言者は笑む
四百八十七日目。曖昧なままにしておく勇気も。 疑えばきりがないけれどガラス越し窓をほの浮くアジサイの花
四百八十六日目。くちなし色にくれてしまいし梅雨晴れ間。 顔いろを窺いながら生きて来し幼きがひとりつくり笑いす
四百八十五日目。八重のクチナシ。ものいわぬ梔子の花つゆ霞。 保健室のにおいのなかの春霞 起こされるまで寝かせてもらう
四百八十四日目。紫陽花いろに濡れつつゆかな。 あかいあかい傷口にどどどどどどとしみる同情 泣けとばかりに
四百八十三日目。夕暮れのいろの雨降るこの小道、 ジャケットに惚れて惹かれて乗せられて買ったアルバム身の丈に合わず
四百八十二日目。道をゆずりあうべし。 ほんとうに都知事は止めてしまった。お疲れさま。 ねことねこ共に退かれぬ事情ありてドクダミグサの花咲くところ
四百八十一日目。駅前銀座も、清水銀座も。 この町から抜け落ちてゆく様々の思い閉ざしてシャッター開かず
四百八十日目。雨が降っても降らなくても、釣り人はいる。 カラフルな釣り具のわきに釣り師いて寡黙なり雨の江尻埠頭に
四百七十九日目。車内より丹沢山塊を望む。 こんなにもみどり滴る雨上がり港より見る山並みは真近し
四百七十八日目。車窓より。 わが友の友は見知らぬお方なれど無神論者はともだち思い
四百七十七日目。小田急ロマンスカーに乗って。 雨晴れてあかね雲浮く六月のたまに聴きたくなるラフマニノフ
四百七十六日目。そろそろプール開きか。 『みずいろの使者』 全十六首 ひたひたと歩き回るはなんぴとかすでにプールの水は抜かれて みずなきプールの底に身をしずめ動く右手はペンキぬる人 空いろの補色のいろに昏れながらプールの底の塗り替えを急く 塗り…
四百七十五日目。梅雨の合間の一仕事。 『線描の的』 全十五首公開。(2013年初出) ゆあがりの腰にタオルを巻きながら十字を切るごとぬぐうすがた見 絵画とは洋画のことか、ふる雨に額アジサイの挿し木はぬれる アトリエの水場の蜘蛛は老いたれば餓死を…
四百七十四日目。梅雨に入ったそうな。 『そらのくうはく』 全十五首公開。(2014年初出) 身にふかく落ちてはひらく点描の雨はしばしばこころにも降る ふいの死のおもみをはかり損ねつつもどす受話器の意外な重さ きみの死の日より数えて三日余り雨、雨…
四百七十三日目。無口な歯医者さんは、すこし怖い。 止むかしら 青み帯びたる水無月の空にちいさく息を吐くひと
四百七十二日目。お天気は下り坂か。 任意の点見失いたるひとつぶの雨の軌跡をてのひらに受く
四百七十一日目。止まない雨はないのだけれど。 折り畳み傘をひらいて雨のふる死者の側へとそを差し出す
四百七十日目。元気が一番。 あかときのホテルに眠るうつしみの生きるというは音立てること
四百六十九日目。六月になりました。 いもうとよぽつりぽつりと風呂桶に落つる水滴死に切れずあり