北村周一のブログ《フェンスぎりぎり》

フラッグ《フェンスぎりぎり》展へようこそ。現代美術紹介のコーナーです。とりわけ絵画における抽象力のリアルについて思考を巡らしたい。またはコーギーはお好き?

2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

ロボットのようなマイムに見惚れつつからだ撫でおり腰痛持ちは

二百二十四日目。 ロボットのようなマイムに見惚れつつからだ撫でおり腰痛持ちは

テレビからみんなの体操ながれ来てついつい動かしてしまう足腰

二百二十三日目。 テレビからみんなの体操ながれ来てついつい動かしてしまう足腰

月高く昇りつめたる夜半にして階を見下ろす犬と目が合う

二百二十日目。 月高く昇りつめたる夜半にして階を見下ろす犬と目が合う 眼の座標/2002

イヌが啼く前に目覚めて朝が来るとおくから見ればしあわせのひと

二百二十一日目。こころごころに十五夜の月。 『眼の座標』展/2002イヌが啼く前に目覚めて朝が来るとおくから見ればしあわせのひと

病室の窓がおおきなゆうぐれとなるころ父の繰り言止まず

二百二十日目。雨あがる。あすは十五夜。きょうは彼岸明け。 病室の窓がおおきなゆうぐれとなるころ父の繰り言止まず

嗽して顔を洗ってそれで気が済むくらいならはじめから怒るなよ

二百十九日目。雨がつづく。父の命日。おとつい、義父の命日。 嗽して顔を洗ってそれで気が済むくらいならはじめから怒るなよ

父と子と聖霊の御名をしたがえて目立つところに咲くマンジュシャゲ

二百十八日目。彼岸花満開。 代々木ギャラリー/2002 父と子と聖霊の御名をしたがえて目立つところに咲くマンジュシャゲ

ひとひ置いて立ち日がつづく長月の気になる人のお墓にも雨

二百十七日目。秋分の日。 ひとひ置いて立ち日がつづく長月の気になる人のお墓にも雨

山本さん亡くなったそうでその数日後には藤棚は跡形もなしと

二百十六日目。 山本さん亡くなったそうでその数日後には藤棚は跡形もなしと ひとに見せるために育てし藤棚ゆえ根こそぎ抜かるるあるじなきあと 白藤と紫藤の見事なる幹を脈打つ樹液の音も

病院から一時帰宅をゆるされし父が指図しており縁側越しに

二百十五日目。 病院から一時帰宅をゆるされし父が指図しており縁側越しに

ぼうぼうの庭先に立ちあれこれと指示出す父は末期なりけり

二百十四日目。 ぼうぼうの庭先に立ちあれこれと指示出す父は末期なりけり

依存癖は遺伝するらしもういいかい父の影より出でてあそばな

二百十三日目。 依存癖は遺伝するらしもういいかい父の影より出でてあそばな

もういいよ、枝のあわいに浮くちから失くせし白き風船がねむる

二百十二日目。疲れたら眠るしかない。 もういいよ、枝のあわいに浮くちから失くせし白き風船がねむる

友と飲み比べをしたる牛乳の その数七本目にしてわれは噴水

二百十一日目。 友と飲み比べをしたる牛乳の その数七本目にしてわれは噴水

肝油ドロップひとつ欲しさに虫下しはのどへ流しぬ昭和の子らは

二百十日目。 スペース23°C肝油ドロップひとつ欲しさに虫下しはのどへ流しぬ昭和の子らは

線状の赤き焔の雨雲がなめつくすごとし鬼怒川沿いを

二百九日目。 線状の赤き焔の雨雲がなめつくすごとし鬼怒川沿いを

一合の酒にまつわる薀蓄のあれこれ子規のことなども少し

二百八日目。 獺祭という日本酒の銘柄がある。流行っているらしい。地味だったのだけれど。 一合の酒にまつわる薀蓄のあれこれ子規のことなども少し

男体山のかげを抱ける湖(うみ)にして水は落下の気配を宿しぬ

二百七日目。 男体山のかげを抱ける湖(うみ)にして水は落下の気配を宿しぬ 二荒の山の深きうれいを満たしめてみずうみはあり雨降るらしも

この湖(うみ)の先には滝のあることも美しくせり天に星々

二百六日目。 この湖(うみ)の先には滝のあることも美しくせり天に星々

湖畔まで児童らの声はほのぼのと聞こえ来るなり湯殿は近し

二百五日目。ようやく晴れはしたが。 湖畔まで児童らの声はほのぼのと聞こえ来るなり湯殿は近し レイク・サイド・ホテルの湯屋をけぶるかな 男子児童の声の溌溂

暖気な客ばかり家に来合わせて説きにかかれば雷鳴りはじむ

二百四日目。経験のない大雨、…まだまだ降り続く。 暖気な客ばかり家に来合わせて説きにかかれば雷鳴りはじむ

旅の宿のさまざまな音 めざめはてわれは眠るに飽きてうつうつ

二百三日目。雨の日が続く。長月九日。 旅の宿のさまざまな音 めざめはてわれは眠るに飽きてうつうつ

眠たさはいまこの子を越えてその母を求めやまざり泣いて困らす

二百二日目。雨が続く。あすは本降り。 眠たさはいまこの子を越えてその母を求めやまざり泣いて困らす

あやまちはときのほころび予約した席を違えて仲良しになる

二百一日目。 あやまちはときのほころび予約した席を違えて仲良しになる

父の皿を洗うふたり子年子にてトマトケチャップいろの水際を

二百日目。 父の皿を洗うふたり子年子にてトマトケチャップいろの水際を

開戦を告げるチラシに桃ひとつくるまれてありそのなかの核

百九十九日目。 開戦を告げるチラシに桃ひとつくるまれてありそのなかの核

夜見の世の入口にしてまたひとりテレクラリンリン明るいお家

百九十八日目。 夜見の世の入口にしてまたひとりテレクラリンリン明るいお家

夜深けにわかに声を震わす蝉ありてつくづくとオスの体力おもう

百九十七日目。暑の戻り。セミその三。 夜深けにわかに声を震わす蝉ありてつくづくとオスの体力おもう 日付けをまたぎて声をかぎりに啼く蝉の体力は如何にわれは帰宅す

今朝羽化を遂げたるセミかも 逃げ惑う声はするどし子猫の手より

百九十六日目。蝉の二。 今朝羽化を遂げたるセミかも 逃げ惑う声はするどし子猫の手より

輪郭はほつれやすくて硬くなるほどにすなわち羽化が始まる

百九十五日目。夏が終わろうとしている。 輪郭はほつれやすくて硬くなるほどにすなわち羽化が始まる