四百七十六日目。そろそろプール開きか。
『みずいろの使者』 全十六首
ひたひたと歩き回るはなんぴとかすでにプールの水は抜かれて
みずなきプールの底に身をしずめ動く右手はペンキぬる人
空いろの補色のいろに昏れながらプールの底の塗り替えを急く
塗りのこし見比べながらプールよりいづる者あり 刷毛持つ右手
プールへと降りゆくそはペンキ塗りにてみずいろの使者たるごとし
日の暮れをならび立つかげ淡くしてプールサイドに四、五本の刷毛
みずみちて浮かび上がりし水底は瑞々しけれ プール塗り終う
あおあおき匂いこもれる夕まぐれプール開きの予感にみちて
ゆびからめ金網越しにみいる子の目にはさやけし プール満水
かげりなき空の一部をみたしめてプールサイドへ溢れ出すみず
掛け声はプールサイドにこだまして初泳ぎまだ水は冷たそう
忽ちの雨降りそそぎ沸き上がる子らの叫喚プールを奔る
雨上がりのプールサイドに群れいたる雀にぎわし溜まりの水に
ひとの子の背丈のほどを洩れ出だす水の音するプールサイドに
なつやすみ 水着のいろもまちまちに静かなるかな開放プール
うら窓よりうすみずいろのかげりさしすずしかりけり 学校プール